1日目(開講式) なんと未来創造塾

なんと未来創造塾

第6期開講式を開催しました

開会挨拶

主催者挨拶  なんと未来創造塾長・市長 田中 幹夫

 今回は、塾生11 名に参加いただきありがとうございます。今回で第6期となりました。第5期までの修了生が49名ですので、今回の11名でちょうど60名になります。第5期までの皆さんがで、自分の思いを形にしてうまく事業に乗せた方が大体60%と聞いており、頑張っていただいていると私は見ています。
 第1期から今回の第6期までの皆さんが、また改めていろいろな事業を考えたり、みんなで応援し合ったりというようなことにもつながると思っております。
 今日からさっそく講義が始まります。自分一人で考えてやっていきたいという思いもあるでしょうけれども、他の人のアイデアもいろいろ取り入れながら、もしくは先輩方のアイデアも取り入れながらうまく回していけるようになれば、もしかしたら近道になるのかもしれませんね。ビジネスプランというのは、実行するにはなかなか難しいものですが、塾を通して学び、仲間を作り、相談相手も作れるということで、やっぱり一人で考えるよりも2歩3歩進み具合が早くなると思います。行政としても何をどう応援すればいいのかということを考えていきますし、金融機関のご協力もあります。大学もあります。そして地域の皆さんの応援もありますので、この塾を目一杯利用してください。
 南砺市は、4町4村が合併してできたまちです。山から平野までいろいろなところで民芸だとか土徳だとか素敵な活動があり、素晴らしい景色もある、バラエティーに富んだまちです。この地域の課題は、やはり人口が減少していて将来が心配だというようなことなのですが、みんなで取り組んでいくという気運の醸成がこの6年間でかなりできてきたと思っています。来年2月の発表会を楽しみにしています。

 

主催者挨拶  熊本大学副学長・熊本創生推進機構教授 金岡 省吾

 熊本大学で地方創生担当をしている、副学長の金岡です。今日のなんとで、今年度の塾の開講式は9カ所目になりました。いま、未来創造塾は大きな分岐点に来ています。日本商工会議所青年部と熊本大学で6月に協定を締結し、未来創造塾を全国に展開することとなったのです。
 この塾は、地域のいろいろな課題を、ボランティアではなく企業活動としてビジネスで解決していく取り組みです。ビジネスと言ってもちいさいもので構いません。塾は、そういったビジネスを協力して立ち上げていく、共創の場です。大学がこういう共創の場を作り出すことに取り組んでいるのは、大学の存在意義となっているからです。地域から必要とされることが大学に必須の時代になってきたのです。
 未来創造塾は、私が富山大学にいた2008年にスタートして、魚津市、高岡市、和歌山県田辺市と広がって、南砺市も今回で第6期となりました。熊本県内では6カ所、商工会議所では昨年から小松市、今年からは蒲郡市、桐生市が加わることになっています。すでに修了生が420名いて、毎年100名ほどの修了生を輩出しています。南砺市は小松市や蒲郡市と近いので、一緒に塾に取り組むような形も考えていけたらよいですね。
 さらに、この塾の取り組みは地域の高校生や若者に響いています。魚津市にある新川高校は、富山大学と連携し、魚津の塾修了生が関わっていくことで入学を希望する生徒が増えてきました。熊本県内でも12の高校がこの塾と連携しています。皆さんの小さな動きが若い人たちの心を変えていくのです。
 地域の課題と企業活動の接点となる取り組み、ちいさなイベントからでよいのでぜひ始めてください。

 

来賓挨拶  日本政策金融公庫高岡支店長 野上 敏充氏

 今年度もなんと未来創造塾が開講されますことをお喜び申し上げます。塾生の皆様も、なんと未来創造塾へのご参加、誠にありがとうございます。
 私は、今月8月1日に転勤で高岡に来たばかりです。公庫は地域活性化に非常に関心を持っていて、行政の方々と協力し合って活動したり、地域の企業に融資したりしています。前任者からなんと未来創造塾があるということを伺っていて、非常に意義のある活動をされていらっしゃると思いました。
 この塾の豊富なカリキュラムを通して、多くの意見交換をして、塾生の皆さんが思い描いていることを、自信をもって実現に向かって突き進んでいく、実りのある場にしていただきたいと思います。皆さんが抱えている地域課題を解決する中で、どうやって自分自身を活かすことができるか、考えていかれることと思います。
 日本政策金融公庫も、そのような取り組みに対して、南砺市を盛り上げていく一助となりたいと思います。詳しくは後ほどお話ししますが、融資や新規開業、新事業の創出、さらにそれらに関わる情報の提供などのサポートも行っています。
 半年後の発表を楽しみにしています。

 

オリエンテーション


オリエンテーション1 「なんと未来創造塾が目指すもの」

南砺市南砺で暮らしません課 荒井 昌宏

 南砺市は、人口が4月末で45,669人、そのうち外国人が1,069人、世帯数が17,497世帯、面積は668.64平方kmで大体琵琶湖と同じ ぐらいの面積で、うち8割が森林です。主な産業は、農業、工業、伝統工芸からアニメ制作やロボット生産までさまざまです。
 南砺市は、宝島社が発行している田舎暮らしの本の「住みたい田舎ベストランキング」で、北陸エリア総合部門で2位を獲得しています。詳細としては、シニア世代部門が1位、子育て世代部門が3位、若者世代・単身世代部門で3位となっています。また、ユネスコ世界文化遺産、ユネスコ無形文化遺産、日本遺産など、市民が誇り・つなぐ南砺の伝統もあります。
 しかし、残念ながら年間約720人のペースで人口減少が進んでいます。なかでも生産年齢人口、年少人口が大きく減少しています。自然増減については、1990年頃から自然減に転じ、次第に減少数は増加しています。社会減としては、転入、転出とも減ってきていますが、その差は大きくなってはいない状況です。2045年の推計では、さらに人口が減って若い人が少ない形になっています。将来人口のメッシュ図を見ると、人口が減っていくところがほとんどで、非居住地化していくところも見られます。南砺市は、消滅可能性都市のひとつに数えられ、特に若年女性の転出が大きいのが特徴です。
 人口減への対応として南砺市は、小規模多機能自治という新たな住民自治をスタートさせ、地域の活性化に取り組んでいます。地域の取り組みを効率化させ、横断的に地域課題を解決しようとしています。地域の課題としては、担い手不足などに伴う、介護予防、子どもの居場所づくり、地域交通、空き家利活用、買い物・弁当支援などが挙げられます。具体的な課題解決の取り組みも、例えば井波地域でのJISO LABOの活動などが始まっています。
 また、南砺市では他にも、婚活支援、移住・定住支援、高校生プロジェクト、ジェンダーギャップ解消、そしてなんと未来創造塾などに取り組んでいます。
 婚活支援では、平成23年から始まって、今までに185組の方が結婚されて、さらにそのカップルから生まれたお子さんが147名となってます。県外からの移住者も、毎年概ね100人以上います。南砺市の伝統文化や就業・通勤環境もいいと評価されています。また、若者ネットワーク事業として「高校生プロジェクト」として若者にまちづくりに関わってもらって、高校生たちだけでプロジェクトを考えて実施してもらう取り組みも行い、南砺に帰ってきてもらうきっかけづくりをしています。ジェンダーギャップ解消については、女性の活躍を受け入れる地域風土をつくっていくためのさまざまな取り組みを行っています。
 なんと未来創造塾は、例えば耕作放棄地を活用して農業所得を向上させながら自分たちの商品開発もするとか、空き家を日替わりでいろいろな人が活用する場に作り変えるなど、今までの地域の困りごとに価値を見出してビジネス化することで、地域が生き残るために、地域の課題解決をしながら稼ぐプレイヤーを輩出することを目的としています。今日を合わせて全11回のカリキュラムの中で、ゲストスピーカーの講義や皆さんのグループディスカッションを通して、実施可能なビジネスプランをつくり、修了式で発表していただきます。発表は、プレゼンテーションとポスターの両方で行います。
 次代を担う子供たちが笑顔で暮らし続けられる南砺市の実現に向けて、この塾を開講しています。皆さんの活躍を楽しみにしています。

 

オリエンテーション2 ローカルイノベーターの卵が地域を救う

熊本大学副学長・熊本創生推進機構教授 金岡 省吾

 私の専門は園芸です。ランドスケープと言って都市公園を設計するような仕事をしていたのですが、これだけだと先がない、地域活性化に取り組もうと考えて、三和銀行、今の三菱UFJ銀行の研究所に入りました。そしてさまざまな地域の活性化について報告書を作成しましたが、実際にこちらが考えるように地域が動いてくれることはなかなかないのです。
 それで私は2008年に富山大学に来ました。そして、富山大学でいろいろと地域活性化に取り組む中で企業と地域の新しい関係がつくれるようになりました。田中市長のように地域を力強く引っ張っていくのも大切ですが、地域の人々が主体的に動かないといけない時代になってきました。
 例えば熊本の天草市には企業が約3,000社ありますが、中小零細がほとんどで事業承継が難しいところがたくさんあります。しかし、地域の高校生は、かなりの割合が県外に出て行ってしまいます。そのような負の連鎖を断ち切るのが、この未来創造塾です。ローカルイノベーターの卵を育てて、地域活性化がカッコいいということを若者に伝えることが大切です。田辺市の塾修了生が、その活動を通してたくさんの賞を受賞したりして有名になってきています。熊本でもそうです。魚津市でも修了生たちがまちの活性化に貢献しています。このような取り組みに関心を持ったのが日本商工会議所青年部(YEG)です。YEGには全国で32,000人を超えるメンバーがいて、可能性は無限大です。
 具体的な塾生の話をします。1つ目の例は、八代出身で熊本市内の高校に進学、さらに東京の大学に進学してそのまま東京で銀行に就職した修了生です。しかし彼は銀行をやめて熊本に戻り、アボカド農家になりました。おじいさんが晩白柚を栽培していましたが、耕作放棄地が増えてきてこれを何とかしたいと考えてアボカド栽培に取り組むという形でストーリー性があり、地域の人たちが応援してくれる事業になりました。
 次の例は、ホルモン焼き屋さんです。コロナの頃に店を立ち上げたのでお客さんが来てくれず、弁当配達をすることにしました。しかしなかなか儲からない中で、子育て世代の女性をターゲットにコミュニティをつくってみんなで弁当をつくったりしたところ、応援しようとする人たちが現れたのです。今では行列のできる店になりました。
 日本商工会議所青年部会長の小野さんは小松市で企業経営していますが、小野さんも、地域から出て行った子どもたちが帰ってきたいと思える地域づくりが必要だと考えています。そのためには、自分たちが地域で面白い仕事をしてそれを子どもたちに見せつけることが大切だとも言っています。未来創造塾の考え方と同じです。それで、小松からYEGの未来創造塾が始まりました。
 熊本県内では、塾と高校が連携して、高校生に塾で話すような内容を講義して、地域の課題を解決することのカッコよさを伝えています。さらに修了生も参加して、自分たちの取り組みを高校生に紹介します。そのような授業を通して高校生たちは、地域で働いてもいい、あるいは都会に出ても地域に関わっていたい、と考えるようになってきています。
 熊本大学でも、240人規模の授業を同じように行っています。この規模の授業が4つあって1,000人ほどの学生に塾の取り組みを伝えています。初めは地方はダサい、と言っている学生たちは、次第に意識が変わってきて、地域活性化に取り組むビジネスに関心を持つようになります。熊本大学では、来年度から共創学環を新規に立ち上げます。定員は80人ですが、先日のオープンキャンパスには高校生が1,000人やってきてくれました。
 塾のことについてですが、ビジネスプランの実行率が高い塾は、塾生の出席率が高い塾です。塾に参加するのは大変だと思いますが、絶対に面白いですから休まずコツコツと出席してください。最後に、繰り返しになりますが、地域の課題について小さなところから、山の中、田んぼ、公民館で、シェフなのか漁師なのか、林業の人なのかわかりませんが、ぜひ一歩を歩み始めてください。そうすることで皆さんの明日は変わります。ぜひ小さな実現可能なプロジェクトをつくってください。

 

オリエンテーション3 日本政策金融公庫の取り組み①

日本政策金融公庫高岡支店長 野上 敏充氏

 日本政策金融公庫という名前は、あまり耳にされたことないかと思います。公庫の事業には大きく、国民生活事業、中小企業事業、農林漁業事業があります。公庫は、昔の国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫が行政改革によって合体した、政府系の金融機関です。市中金融機関では、お客さんから預金を預かったり、証券業務で運用して利ザヤで資金調達したりして融資やサービスに活用していく形が一般的ですが、公庫は政府系の金融機関ということで、基本的には財政投融資などから予算をもらって運用しています。税金を使っているわけではありません。
業務内容は法律で明確に決まっていて、国民生活事業は、小規模事業者に対する金融業務で、融資に特化しています。あわせて、相談や情報提供なども行っています。国民生活事業だけで融資先は115万先、平均融資残高は822万円です(平成6年度末)。創業支援や事業承継支援なども行っています。
今回の塾の方については、新規開業だったり新事業に取り組まれたりされることがあると思います。うちで取引のある開業された方々は、8割くらいが40代以下です。若い人のチャレンジ精神で新しい事業をやっていきたいという意欲のある方を、我々も支援させていただいています。
 情報提供については、情報コンテンツカタログに掲載されていますが、データで提供していますし、冊子でも提供できますのでご依頼ください。無料ですが、中身が充実した濃い内容の冊子が多く、 ヒット作も結構あります。LINEでの情報提供も行っています。
 南砺市で、南砺創業サロン「なんとの芽」も行っています。興味があったらお申し込みください。ネットワークの構築にも役立ちます。
 塾生の皆さんのビジネスプランを実際にビジネスに落とし込む時にきっと頼りになると思いますので、ぜひご相談ください。

 

第6期の塾生

石田 香楠子  かなんとこ(当日欠席)
川縁 茜    ak music studio
河村 春代   着物体験 笑み加(当日欠席)
髙瀬 愛    南砺市平診療所        
髙野 一穂   ユニセキベース
田中 悠介   田中林業
中本 開子   第3スタジオ
長尾 祐也   株式会社福光商店
野原 将史   株式会社ノハラ
長谷川 祈   ヨーガ講師
南部 成美   コスプレイヤー・アーティスト

 

関係機関・塾長からのエール

一般社団法人となみ青年会議所理事長 渡邊 俊一郎氏

 私たち砺波青年会議所のメンバーには、なんと未来創造塾修了生業生がたくさんいて、いろいろと関わりを持っています。また、南砺市、砺波市津波市を活動エリアに、明るく豊かな砺波の実現のために、社会課題を解決するために、人づくり、まちづくり、青少年育成事業などに取り組んでいます。会員資格としては20歳から40歳までという年齢制限があるだけです。
 協力機関となっていますが、皆さんを支援するというよりは一緒にパートナーとして地域課題の解決に取り組むことができた素晴らしいと考えています。現在、40名弱の会員で活動しています。県内、国内、そして世界中に青年会議所があった大きなネットワークがあります。興味があればぜひ気軽に声をかけてください。

 

南砺市地域づくり協議会連合会長 松本 久介氏

 この塾は、第1期からこの第6期までずっと参加しています。毎回来るたびに、南砺市でこういう若い人たちが頑張ってくれているのだということを拝見する貴重な機会だと嬉しく思っています。
 南砺市は、富山県内で唯一、小規模多機能自治を全域で実施しています。地域づくりを市役所任せにするのではなく、地域づくり協議会が主体的に地域の実情に合わせて地域課題を解決しようと日々取り組んでいますが、若い人が地域に関心を持って、私たちと一緒に取り組んでくれればいいという思いがあります。若い人たちが頑張ってくれているのだから、私たちも頑張ろうという気になります。最後の成果を発表していただくのを楽しみにしています。

 

南砺幸せ未来基金理事長 南 眞司氏

 先ほど塾生の髙瀬さんから私の紹介がありましたが、2014年に南砺市民病院の院長を退職しました。その後 11年はまちづくりに取り組みました。病院で勤務していた時には、人材育成をして南砺市の医療については安全になりました。しかし一人暮らしの高齢者も増えて、自宅で安心して暮らせる在宅介護の仕組みを作りました。
 しかし、高齢者は体が弱くなったら不幸だと感じ、実際自殺率も高いのです。幸せに暮らせるようにするには、市民同士が支え合って助け合って元気に過ごせるまちをつくる必要があり、南砺幸せ未来基金やなんと未来支援センターができて、住民自治活動や公益的市民活動を行っている団体などを応援して、住みやすいまちづくりに取り組んでいます。
 これから半年いろいろ学んで、一歩目をどう踏み出すかを考えるときに、相談に乗ったり、活動を支援したりもできます。気楽にご相談ください。

 

なんと未来創造塾長・市長 田中 幹夫

 今日は、長時間に渡っていろいろなプレゼンもありましたが、皆さんの一人一人の自己紹介で嬉しく思ったところです。私自身も自己紹介をすると、標高700mのところ、瞑想の里の下のところで生まれ育って、実を言うとそこに住んでる私は1番幸せなんだとずっと思い続けてきました。しかし私の父や祖父には、お前はこんなところにいずに勉強して外へ出ろ、と言われていました。勉強はあまりしなかったので戻ってきた、ということになります。
 大切なことは、私たちはこういう地域をつくりたい、こういうまちをつくりたいということを自分で考えて自分で押し通していくことです。賛同してくれる仲間が増えれば地域は変わっていきます。
 私の得意なことは、人とつながることです。そのうえで、人と人をつなげることが私の仕事だと思っています。それをやり続けることで、全国の市長さん、町長さんたちとつながって、公共ライドシェアなども動いてきていますし、北陸3県でデータセンターの拠点がつくれないかと考えてもいます。まずはでっかい風呂敷を広げてみるのも、もしかしたらいいかもしれません。東日本大震災を受けて、エコビレッジ構想を立ち上げたときはいろいろ反対もあったのですが、今はゴールドウィンが目を付けてくれてプレイアースパークにつながったと思っています。
 南砺市の弱いところは、情報発信力です。皆さんからぜひ写真や音楽で南砺市を発信していっていただきたいです。
 ビジネスプランなど考えていることがあったらぜひ聞かせてください。大歓迎です。

 


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