1日目(開講式) なんと未来創造塾

なんと未来創造塾

第5期開講式を開催しました

開会挨拶

主催者挨拶  なんと未来創造塾 塾長・市長 田中 幹夫(代理 市民協働部長 岩本 真佐美)

 本日は、なんと未来創造塾第5期開講式に、日本政策金融公庫高岡支店長小林様をはじめ関係の皆様方にお集まりいただきありがとうございます。また、なんと未来創造塾の開講にあたり金岡先生をはじめ熊本大学の皆様に運営支援をいだいており感謝申し上げます。
 なんと未来創造塾は、今年度第5期を迎え、11名の塾生でのスタートとなります。今年2月に行いました第4期の修了式では、塾生が地域課題を解決するビジネスプランを発表してくれました。そしてそれぞれの修了生が、できるところからスタートし少しずついろいろなところで動き始めていると聞いています。
 人口減少が進む中、塾生の皆さんには地域社会とどう向き合っていくべきか、それぞれのビジネスをどう進めていくか、今後進むべき道はどこなのか、この塾がこのようなことを考えるいい機会になります。未来創造塾では講師の先生方からの情報をたくさん吸収していただくとともに、同期の仲間や第4期までの修了生38名とのネットワークを築き上げることも、とても大切なことです。この塾が地域の課題を解決する一歩を踏み出すためのきっかけの場となり、未来の南砺市を牽引する人材になっていってほしいと期待しています。
 結びになりますが、令和7年2月には修了式を予定しておりますので、それまでの時間が皆さんにとって充実した時間となることを願うと同時に、修了式で披露される皆さんのビジネスプランを楽しみにしています。

 

主催者挨拶  熊本大学 副学長・熊本創生推進機構教授 金岡 省吾

 本日、なんと未来創造塾第5期の開催にあたり一言ご挨拶いたします。日頃より関係の皆様には多大なるご支援ご協力を賜り、この場をお借りしてお礼申し上げます。
 私ごとですが、前に富山大学にいまして、熊本大学に移って4年になります。塾の取り組みは次第に広がりを見せていて、この塾が今熊本大学の命運をかけるような状況になり始めています。
 富山で始めたこの塾が、2016年に田辺市でも始まり、それから4年後にここ南砺市で始まりました。その後、私が熊本大に移って、熊本には現在6カ所の塾があり、合計8カ所となりました。年に100人ほどの塾生がいて、今までの修了生は300人ほどになります。今年度は小松でも塾がスタートします。小松は今までの地方公共団体が主催する形ではなく、日本商工会議所青年部が塾を主催し、さらに商工会議所青年部のネットワークを活かして全国に広げようとしています。
 塾修了生が高校などに出向いて、自分たちの取り組みを紹介する動きも広がっています。昨年度は、約2000人の高校生に対して修了生が話をしてくれました。初めは高校生たちは地元に残るつもりはない、というようなことを言うのですが、修了生の話を聞くと変わるんですね。さらに、都会の企業との連携も進んできています。
 この塾の重要なキーワード が「かっこいい大人」です。イノベーションを起こして地域を変えようとしている人たちです。地域を救うのは、皆さんのような若い人たちです。この塾でやるのは小さいことですが、この塾で何かを感じて何かを考えて、小さい取り組みから始めてもらい、それが大きく育っていく、というのがこの塾です。
 そのためにも、最後のお願いとなりますが、塾生の皆さんの成長には、今日来ていただいてる皆さんのご助言ご協力、伴走支援が必要です。今後ともご支援をいただくことをお願いをして、開会の挨拶とさせていただきます。

 

来賓挨拶  日本政策金融公庫 高岡支店長 小林 正良氏

 第5期のなんと未来創造塾にこれだけの塾生の皆さんが集まり、約半年後、2月の発表会までの間、皆さんでいろいろ議論されていくのだろうと思います。今、金岡先生もおっしゃっていましたが、地域の課題を見つけていくのが多分最初に苦労する点かと思います。皆さんの足元を見つめ直してもらって、すぐそばにある課題から取り組んでいただいたらよいのではないかと思います。大事なのは皆さんがその課題を克服することだけでではなく、この先南砺市が10年、20年、30年と栄えていくために皆さんがコアになって、皆さんに共感してくれる仲間を募りながら取り組んでいける、そういうネットワークを作っていていただければありがたいと思います。
 皆さんが楽しくないと何も残りません。ぜひこの塾を楽しんで盛り上げていっていただければありがたいです。誰一人欠けることなく2月の修了式を迎えられますようお祈りいたします。

 

オリエンテーション


オリエンテーション1 地域活性化論①「ローカルイノベーターが地域を救う」

熊本大学 副学長・熊本創生推進機構教授 金岡 省吾

 先ほどは皆さんが地域を変える秘密兵器になるんですよ、みたいなことを言いましたが、そのような人をローカルイノベーターと呼んでいます。
 私は大学院でランドスケープを専攻しました。文理融合的な分野でした。それから三和銀行の研究所に勤務し、国や民間企業等と一緒に地域開発などに取り組んでいました。しかし、いくら戦略を練っても地域が動かないということが多く、富山大学に籍を置くことにしました。そして、地域課題をビジネス的に解決していくCSVという形で、地域課題の解決に取り組む仕組みを作り上げました。大工さんやみかん農家さん、料理屋さんなどが地域の課題を考えたビジネスを作り上げることで、クールなカッコいい大人に育ってくれています。
 このような取り組みを都会の大企業が認めてくれて、あちこちで紹介してもらいました。アワードを取りにいかないかと誘われて、イノベーションアワード2018優秀賞をいただくこともできました。この塾が金融機関も含めた産官学金の連携でイノベーションを起こしていることを認めていただいたということです。
 未来創造塾の取り組みは、3期目ぐらいから地域を少しずつ変化させていることが実感できるステージに入るようです。たなべ未来創造塾の修了生の中には、さまざまな賞を受賞する人たちが現れてきました。SDGsに取り組んでいる人たちやユネスコ関係の人たちにも関心を持ってもらえるようになりました。南砺市でも5期目に入りましたから、そろそろそういうステージに入ってくるのではないかと期待しています。
 地域の中小企業がどうやって生き残っていくのか、これから何をするのかを考えるこの塾ですが、出席率と稼働率を大切にしています。小さいことからでいいので、まずは始めてもらうことが大切です。草原や水循環を守るための甘酒開発、地熱を利用したコーヒー豆焙煎、子育て世代を支援する弁当開発などに金融機関が応援してくれています。
 さらに、このような修了生に関心を持った都市部の企業が、社員研修として一緒に取り組むような動きもあります。企業からかなりの参加費を払って加わってくれています。首都圏の大企業はこのような取り組みに強い関心を示しているのです。
 また、地域のイノベーターの取り組みを高校生や大学生に知ってもらうことで、地方に関心を持ってくれる生徒や学生も現れてきました。熊本県内では大学進学などで熊本を離れる人も多いですが、熊本に戻ってきたり、都会に残っても熊本の課題に関わり続けたりしてくれる若者を増やすきっかけになっていると思います。
 地域課題を解決するビジネスを展開するローカル・ゼブラが注目されています。世界を切り開く小さい企業を地域で育てていくことが大切だと認識されてきたのです。その意味で、商工会議所が関心を持ち始めているのは重要です。
 最後に、地域の課題の中にビジネスチャンスが転がっています。世の中は変わり始めてきています。小さいことでよいので、皆さんにぜひチャレンジしてもらいたいと思います。

 

オリエンテーション2 「なんと未来創造塾が目指すもの」

南砺市南砺で暮らしません課 野原 加奈子

 南砺市の現状と課題、地域を救うスモールビジネス、今こそ新しい価値を、の3点についてお伝えします。
 南砺市は合併して20年になります。20年前の人口は5万6千人ほどで、現在は4万6千人ほどです。人口は減っていますが、世帯数は少し増えています。
 宝島社が発行している「田舎暮らしの本」の調査では、南砺市は北陸エリアで1,2を争う「住みたい田舎」となっています。子育て支援や移住支援が功を奏していると思います。また、南砺市にはユネスコ世界文化遺産など、市民が誇る伝統・文化がたくさんあります。
 しかしながら、人口は毎年720人ほどのペースで減少しています。自然減、社会減がともに進行しているのです。少子高齢化が進み、南砺市の人口ピラミッドもスリムになってしまいました。その結果、南砺市は消滅可能性都市の中の一つに挙げられるようになりました。
 少子高齢化の流れを受けて、南砺市では小規模多機能自治の手法を取り入れ、31の旧小学校区にそれぞれ地域づくり協議会を設置し、住民が自分ごととして地域課題解決に取り組む体制を作りました。この取り組みは現在6年目となっています。
 南砺市では、進学や就職の時点で南砺市を離れる若者が多く、残念ながらその後戻ってくる人は少ないのが現状です。そのような状況を打開するため、婚活支援事業、移住定住事業、高校生プロジェクト、ジェンダーギャップ解消事業、そしてこのなんと未来創造塾などに取り組んでいます。
 なんと未来創造塾では、企業と地域がWin-Winの関係となるCSVという考え方をもとに、小さなビジネスがこれからの地域づくりの重要な役割を果たしていくという姿を実現していきたいと考えています。
 なんと未来創造塾修了生の取り組みとしては、修了生同士がコラボしてお菓子を開発したり、粗大ごみになるようなものをリユースする仕組みをつくったり、空き家を活用した文化施設を運営したり、今開講式を行っているこの施設をオープンさせたりなど、さまざまなビジネスプランが実現しています。
 今期の塾は、小松との合同での開催もあります。最後の修了式に向けて、ビジネスプランを構築し、それをポスターで表現していただきます。カッコいい大人の姿を南砺市の若者に見せていただきたいと思います。そのために懸命に後押ししますので、次世代の子どもたちが笑顔で暮らし続けられる南砺に向けて皆さん、精一杯頑張ってください。

 

オリエンテーション3 「日本政策金融公庫の取り組み①」

日本政策金融公庫 高岡支店長 小林 正良氏

 日本政策金融公庫という名前はあまり聞いたことがないかと思いますが、政府が100%出資をしている株式会社で、北海道から鹿児島まで152支店、7000名の職員がいます。金岡先生からソーシャルビジネスの話が出ましたが、地域課題課題解決型の事業ということでは全国的にいい展開をしていると考えています。
 上場していない中小企業は日本には360万社あると言われていますが、公庫はそのうち110万社と取引があり、残高は約 10兆円となっています。私たちは融資を進めるだけではなく、地域課題に取り組む企業をサポートしてます。その中から得られたさまざまなデータをもとに、例えばソーシャルビジネスを紹介したり、計画書の作り方を説明したりなど、日々悩みながら、創業から廃業まで、企業のお手伝いをしている金融機関です。
 産学官金の中での金の役割は、事業を通じていかに儲けてもらうか、という点です。儲けがないと幸せにならないし、人を雇えないし若い人が来てくれないということになります。儲けがあって笑顔になることで、従業員やお客さんが来てくれます。事業が大きくなってきたら融資などについて地域の金融機関をコーディネートして一緒にサポートしていきます。
 10年先、20年先、30年先も地域で頑張れるような企業になっていただかないと、結果的に私たちもお客さんを失っていくことになります。だから皆さんに頑張っていただく、地域の企業に頑張っていただくと、結果的に金融機関も頑張れるという関係になりますので、皆さん、一緒に取り組んでいきましょう。

 

第5期の塾生

広楽株式会社       王 淇樑
オンライン塾かすみの舎  大窪 春己
JINNA合同会社       金 萍
株式会社さとう美装    佐藤 良介
有限会社嶋田鉄工     嶋田 良太
よしみ工房        高田 優美子
南砺市地域おこし協力隊  水野 阿礼
サンハチレザー      森田 一寛
神田農園         山本 奈未
フリーランス       湯浅 理恵
フリーランス       米倉 真理

 


関係機関・塾長からのエール

南砺市地域づくり協議会連合会 会長 松本 久介氏

 南砺市は、北陸3県では最初に小規模多機能自治をスタートし、6年目に入っています。地域の課題は役所任せにするんじゃなくて地域でやるんだという取り組みです。残念ながら6年かかってまだチャレンジ中という状態です。地域づくり協議会連合会長になってもう10年ぐらいになります。
 以前金岡先生と一緒に田辺市に行って、塾の取り組みを見せてもらいました。それから南砺市でも塾が始まり、1期からずっと、開講式や修了式に参加して、修了生がみんなそれぞれ地域で頑張ってくれていることをうれしく思っています。1期生の女性は私の家の近くに住んでいるのですが、ぶどう農家になろうと夫婦で都会から移住してきました。今はぶどうも収穫できて販売もしていますし、農地も拡大しています。また、クマやイノシシが出るので、狩猟免許を取って、罠・猟銃を使って捕獲しています。さらにドローンの免許も取って、地域の農薬散布などでも活躍しています。
 未来塾を修了した若い人たちが、南砺市中のあちこちで地域課題を解決してくれているのは実に頼もしいことです。若い人がチャレンジしてくれることで地域が変わります。
 私も大鋸屋地区で、休眠預金活用制度や農村RMOという制度を活用して、補助金を獲得して地域を変えています。
 私たちは皆さんと一緒です。常にチャレンジすることでしか道は開けないと思っています。一緒に頑張りましょう。

 

公益財団法人南砺幸せ未来基金 代表理事 南 眞司氏

 南砺市は、医療、介護、福祉の制度を懸命に作り上げて、安全で安心に暮らせるまちづくりを行ってきました。おかげで、南砺市は相当安全で安心です。ところが、住民が決して幸せではなさそうなのです。高齢者の自殺率が高いのです。身体が弱くなっても、不幸と感じずに幸せに暮らせるまちづくりをしたいという思いで、私は活動しています。
 安全と安心というのは、行政や専門職が取り組めば結構実現できるのです。ただ、元気で幸せな暮らしは、住民同士、みんなが繋がって作るしかないのです。今までは、困ったことがあったら行政とか専門職に頼んで、金を儲けて税金を払うから行政でやってほしい、という考え方でした。
 しかしそれは、元気でも幸せでもない、そういう社会だったのではないかと思っています。南砺市では、13年前に協働のまちづくり支援センターを作り、地域課題を見つけて解決したいと考える公益的な取り組みをする人や団体を応援することを始めました。しかし、あまりうまく機能していませんでした。
 皆さんがこれから地域課題を解決する取り組みをする際に、必要なのは人材、財源、拠点ですよね。それをビジネスにしていくにはやはり伴走する人が必要です。そのために、必要があれば南砺幸せ未来基金やなんと未来支援センターを活用してください。何か困った時には、協働のまちづくり支援センターに相談に来てほしいと思っています。そして、皆さんと一緒に成長していきたいと思います。

 

なんと未来創造塾 塾長・南砺市長 田中 幹夫

 先ほどから、塾生一人ひとりの自己紹介を聞いて、心強く頼もしく、そして楽しみに思いました。そして、修了生の皆さんも、着々とビジネスプランを実現しています。ネットワークをどんどん広げて、成果も大きなものになってきています。
 今日、皆さんは新たなビジネスプランの構築に向けて新しいスタートを切ることになりました。一人で考えていくところもあるかもしれません が、ぜひグループでいろいろな人たちと繋がりながら、自分のやるべきことを探して、一歩前へ進むことが大切です。
 私は塾生の皆さんの応援団です。いろいろな形で応援をしていきたいと思っています。昨年度第4期までの修了生が38人います。毎年言うのですが、今回の皆さんが加わると49人、その中にまたつながったメンバーもいますので、大体70人、80人のグループでいろんなことが動くという点が大切です。南砺市にも大きな課題、小さな課題などいっぱいあります。今日金岡先生から田辺や熊本の動きを紹介してもらいましたが、南砺市もそういうことがこれからどんどん出来るのではないかと思います。
 南砺市としても、さまざまな地域活性化の取り組みを行っています。皆さんと一緒に話ができることがあるでしょうし、そういうところにまた新しいアイディアの広がりが出てくる可能性もあります。皆さんと一緒に頑張っていきたいと思います。

 

閉会挨拶

富山大学 地域連携戦略室長・教授 岸本 壽生氏

 私は富山大学地域連携戦略室の室長ですが、私の前任が金岡先生です。第5期のなんと未来創造塾は主に熊本大学で運営されていますが、これには理由があります。地域創生のエキスパートである金岡先生が富山大学にいた時に、塾が始まりました。塾のプログラムは金岡先生のオリジナルで、金岡先生が熊本大学に移られたあとは、金岡先生の教えを全て皆さんにお伝えすることもできませんので、大変だとは思いますが金岡先生に来ていただくことになりました。
 そして金岡先生が広げたネットワークを南砺市の皆さんにもつなげていただくことで、ここにいる1ひとりの塾生の皆さんが、何百人もの人たちとつながることになると思います。塾のプログラムに一人で取り組むと、途中で投げ出したくなることもあると思います。仲間がいることが素晴らしいことです。皆さんを含めると、塾修了生は南砺市の人口の1000分の1ほどになります。皆さんの年齢層だけで考えて、これから先の塾生も含めたとすると、皆さんの年齢層の100分の1ほどにもなります。1%と言えばかなりの割合ですので、ぜひつなげていっていただいて、地域を盛り上げていっていただきたいと思います。
 やる気の市長がいてやる気の市民の皆さんがいて、やる気の塾生の皆さんがいるのを見て、とても頼もしく思いました。半年後に皆さんの成果をお聞きするのを楽しみにしています。

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